『Webを支える技術 -HTTP、URI、HTML、そしてREST』の感想

更新

Webを支える技術 -HTTP、URI、HTML、そしてREST

ついに『Webを支える技術 -HTTP、URI、HTML、そしてREST』を読みました。

初版の発行年は2010年ですが、取り上げられている事柄にそこまで大きな変化がないため、今でも十分通用する書籍です。今となっては「WebではURIでリソースを特定してHTTPで持ってくる」というのは当たり前すぎて、その技術の思想・有利性を全く意識していませんでした。本書では、なぜWebが成功したのか、言い換えると上記の当たり前がなぜ当たり前になり得たのかについて論じています。一言でいうと、その理由は「Webを支える技術に一貫するシンプルさ」でしょう。

こんな人向け

  • Webの核をなす技術や思想(HTTP、URI、HTML、REST)について知りたい人
  • Webについて、流行に左右されない知識を身に付けたい人

良かったところ

Webを通底する思想と技術を知ることができる

本書で特に重要なのはWebのアーキテクチャスタイル(ブラウザ、サーバー、HTTP、HTML、URIといった複数のアーキテクチャに共通する様式、スタイル、流儀)である、RESTについての解説です。本書では、RESTは以下の6つを組み合わせたアーキテクチャスタイルだと説明しています。

  • クライアント/サーバ : ユーザインターフェイスと処理を分離する
  • ステートレスサーバ : サーバー側でアプリケーション状態を持たない
  • キャッシュ : クライアントとサーバの通信回数を減らす
  • 統一インターフェイス : インターフェイスを固定する(例:HTTP)
  • 階層化システム : システムを階層に分離する(例:プロキシ)
  • コードオンデマンド : プログラムをクライアントにダウンロードして実行する(例:JavaScript)

このシンプルなRESTこそがWebをここまでの成功に導いたものである、というのが本書の主張です。

続けて、WebのREST性を支える技術(HTTP、URI、HTML)の解説が続きます。最後にそれらを踏まえて実際のWebサービスの設計について注意すべき点も含めてまとめられています。Webを支える思想・技術を整理して明快に解説している良書です。

総評

一番初めに手を出すには難しい本だと思いますが、これまでWebに関する本を簡単なものから読み進めてきたので、割とすんなり読み切ることができました。まだ完全に理解したとは言えませんが、Webの根幹をなす思想や技術について知ることができました。Webに関わる全ての人におすすめです。