『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル 第2版』の感想

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SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル 第2版

久しぶりの書評記事です。今回は『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル 第2版』を読みました。

タイトル通り、ソフトウェア開発者が人生をよりよくしていくためのTipsを集めた本です。人生マニュアルというより、エッセイ集といった感じです。

総評

参考になる部分もあり、自分に足りないものや役に立ちそうなアイデアを取り入れていくのは良さそう。ただ人生マニュアルと言えるほどの本ではないです。

この本にはキャリア、セルフマーケティング、学習、生産性、資産形成、フィットネス、マインドセットの章があります。個人的にはキャリア、学習、生産性の章は参考になることが多かったと思います。

逆に資産形成やフィットネスは著者の生存バイアスがかかった体験談といった感じで、鵜呑みにするのは危険だと思います。著者はソフトウェア開発のプロですが、資産形成やフィットネスのプロではありません。それらについて知りたいなら、専門家が書いたその他の優良な本を読んだ方が良いです。

あくまでエッセイ的な本であって、かしこまって読むのではなくパラパラ読みながら「おっ」と思ったところをメモしておく、といった気楽な読み方が合ってそうです。

こんな人向け

  • キャリア形成、学習、生産性向上のヒントを得たいエンジニア
  • 成功したエンジニアの人生観や思考を知りたい人

良かったところ

特に参考になった箇所の紹介:ポモドーロテクニック

学習や生産性のセクションは参考になりそうな箇所が多かったです。その中でも特にポモドーロテクニックとその活用方法はなかなか良いと思ったので紹介します。

ポモドーロテクニックは25分集中+5分休憩を繰り返すことによる時間管理術です。これだけでも時間管理術として成立するのですが、著者は工数管理と目標の管理にもポモドーロを適用するのが良いと言っています。つまり、タスクの工数の見積もりやその日の目標の設定をポモドーロ単位(1ポモドーロ30分)で行うということです。実際にこの方法を取り入れてみると、作業の進捗や見通しがよくわかるようになります。個人的にはこれがこの本の中で一番役に立った箇所ですね。

他にもキャリア目標を立てる、月間や週間の計画を立てる、習慣を身に付ける、といったトピックが良かったです。

気になったところ

資産形成やフィットネスのセクションは再現性がなさそう

全てではないですが、著者の生存バイアスがかかった再現性のなさそうな話も出てきます。特に資産形成とフィットネスのセクションが顕著です。著者は不動産投資で成功したようですが、同じ方法が現在でも通用するかは不明です。ましてや日本でとなるとなおさらでしょう。また、フィットネスのセクションでは著者の方法論が語られていますが、これも万人に向いているものかはわかりません。資産形成や健康を維持することが重要であることは同意しますが、具体的な方法については専門家に頼った方がよいと思います。

感想

個人的には「人生マニュアル」から想像していたものとは違っていて、正直肩透かしでした。成功したソフトウェア開発者の書いたエッセイとして見るなら良い本ですが、人生の指針にできるような本ではないでしょう。確かに役立つことも書かれているわけですが、おすすめの本かと言われると微妙ですね。