『ゼロからわかる新卒エンジニア採用マニュアル』の感想
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久しぶりの書評記事です。
今回はTwitterで話題になっていた『ゼロからわかる新卒エンジニア採用マニュアル』を読みました。私は採用担当でもなければ新卒でもないのですが、転職活動や今後のキャリア形成の参考になることもあるかと思い手に取りました。
総評
紹介されている施策や考え方はテック系企業なら割と一般的なことかも。本書後半で紹介されている企業の事例は結構面白い。
本書の前半では、新卒エンジニアの採用にあたって持つべきマインドや戦略について解説されています。こちらは特に斬新なことが書いてあるわけではありません。イケてるテック系企業なら当たり前にやっていることばかりです。ただ、「これから新卒のエンジニアを採用していこう!でもノウハウがない…」と悩んでいる採用担当者にとっては参考になると思います。
個人的に興味を持ったのは本書の後半、企業の採用担当者へのインタビューです。サイバーエージェント、ウィルゲート、ゆめみ、日揮の担当者が自社の採用戦略や考え方について語っています。各企業のビジョンやマインド、試行錯誤が垣間見えてなかなか興味深かったです。
こんな人向け
- これから新卒でエンジニアを採用しようと考えている企業の代表・採用担当者・エンジニア
- 新卒でエンジニアになろうと考えている学生
特に面白かったところ
後半の企業へのインタビューが面白かったです。もっと色々な会社にインタビューして、それを本にして欲しいです笑。
技術力が高い人ばかり採用しカルチャーの形成をおろそかにすると離職が多くなる?
サイバーエージェントへのインタビューで、「技術力が高い人ばかり採用したら離職率が高くなった」という話がありました。原因としては、「カルチャーの形成」をおろそかにしたからではとのこと。
これはわかるような気がしますね。技術だけに興味がある人は、今いる場所で学ぶことがなくなったと感じれば躊躇なく去るでしょう。技術力だけを採用基準にしてしまうのは必ずしも良い結果を生むとは限らないということですね。この反省からサイバーエージェントは技術力最重視の採用基準を見直し、採用における技術テストを廃止したそうです(!)
ポテンシャル採用した新卒エンジニアを育てる環境を用意する
こちらもサイバーエージェントのインタビューでの話。技術力MAXの人ではなく技術力はそこそこかもしれないけどポテンシャルがある人を採用するわけですから、それもそうですよね~といった感じ。同じような話はゆめみへのインタビューでもありました。
技術力MAXの人材が必ずしも自社のカルチャーにフィットするとは限らないし、そもそも採用が激ムズでしょう。となると、ポテンシャルがあって自社にフィットする人を採用して育成した方が良いということなんでしょうね。これが今後のエンジニア採用のスタンダードになっていくのかもしれません。
採用でメガベンチャーといかに戦わないか
ゆめみへのインタビューでの話。メガベンチャーがユーザー志向のエンジニアを多く採用していることから、テック志向のエンジニアをターゲットに採用活動をしているとのこと。これはなるほどと思いました。メガベンチャーと同じ土俵で戦って勝てるわけないですからね、土俵を変えて総取りしようというわけです。
他にもQiitaやSlackでの活動を通して認知度向上・アピールをするなど、色々考えて活動しているみたいです。ゆめみってここ2、3年でめちゃくちゃ名前を見るようになりましたが、こういった施策が実を結んでいるんですね。
感想
各社の採用のマインドや戦略がなかなか興味深かったです。いかに自社に魅力を感じてもらえるか、自社の基準を満たす人材を獲得するか、それぞれしのぎを削っているわけですね。自分が新卒エンジニアの採用担当だったらと考えると胃がキリキリしそうです笑。