『デザイニングWebアクセシビリティ アクセシブルな設計やコンテンツ制作のアプローチ』の感想
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デザイニングWebアクセシビリティ アクセシブルな設計やコンテンツ制作のアプローチ
3行要約
- Webにおけるアクセシブルなコンテンツとは、マシンリーダブルなコンテンツであることとほぼ同義
- 実装時だけでなく、設計・デザインの段階でもアクセシビリティへの配慮は必要
- アクセシビリティはゼロ・イチではない。小さな向上を積み上げていけば、将来的に大きな改善になる。できる範囲で、できることをするのが重要
Webアクセシビリティの入門書
Webアクセシビリティについて包括的に解説した本です。
Webサイト制作の各ステップにおいてよく見られるアクセシビリティ上の問題を例示し、その解決アプローチを解説するという構成になっています。そのためアクセシビリティについてより実践的に学ぶことができます。また、この本に書かれた内容をクリアすれば、Web Content Accessibility Guidelines 2.0のレベルAおよびAAの達成基準のほとんどを達成できます。これらの理由から、アクセシビリティへ入門するのにちょうどよい本だと思いました。
「アクセシビリティは実装時にだけ注意するもの」というのは間違い
これまでなんとなくアクセシビリティは実装時に気をつけるべきもの、と思ってました。それも間違いではないのですが、それ以前の設計やデザインの段階で対応すべきものが多くあると知りました。例えば、ナビゲーションの設計やフォームなどのシステム設計、コンテンツやビジュアルデザインの設計がそれに当たります。思えば今までディレクターやデザイナーがそのあたり全然考慮してくれてなかったからコーディングの段階で巻き取ってたわ…と、ふと気づきました泣。まずは実装者だけでなく、デザイナーやディレクター含めプロジェクトのメンバー全員がアクセシビリティ対応の責任者であると自覚することが重要です。
仕様通りに実装されたHTMLは自然とアクセシブルなものになる
実は実装時にアクセシビリティの観点で注意すべき点はそれほど多くありません。仕様に従って素直に実装されたHTMLは自然とアクセシブルなものになるからです。つまり実装者がまずやらなければならないアクセシビリティ対応は、仕様通りのHTMLを書くことです。セマンティックなHTMLを書くことの重要性はSEO的な観点から語られることが多かったように思いますが、アクセシビリティの観点から見ても重要です。
できる範囲で、できることをする
アクセシビリティが担保されていないサイトを改善していくことはコストもかかりますし、かけたコストに対するリターンを考えるとやる意味があるのか、と思ってしまうのも理解できます。ただ、だからアクセシビリティ対応はしません、となるのは間違っていると思います。本書にもある通り、アクセシビリティはゼロ・イチではありません。今あるリソース・知識でできることを、小さなことでもいいから少しづつ積み上げていくことが将来の大きな改善につながります。何か理由をつけてすべてをあきらめるのではなく、できる範囲で、できることをしていくのが大切です。
感想
最近アクセシビリティに興味が出てきたので読んでみましたが、良本でした。今までなんとなく「こうした方がよさそうかな?」と考えていたことが言語化されていて、自分の中のアクセシビリティに関する知識が体系的に整理されました。この本で学んだことを今後のWeb制作で実践していこうと思います。