『UIデザイン必携 ユーザーインターフェースの設計と改善を成功させるために』の感想
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UIデザイン必携 ユーザーインターフェースの設計と改善を成功させるために
3行要約
- UIデザインとは、使いやすさのデザインである
- UIデザインはデバイスなどの環境や人間の認知特性を考慮する必要がある
- 「一貫性」「シンプルさ」「共通概念」がわかりやすさ、使いやすさの担保につながる
UIデザインとは、使いやすさのデザインである
本書はUIデザインのルール集といった形の本です。実例も豊富に掲載されており、UIデザインのカタログ集でもあります。
本書ではUIを「ユーザーと対象との接点」「わかりやすさ、使いやすさの領域」と説明しており、UIデザインとは、使いやすさのデザインであると述べています。非デザイナーである私は「デザイン」と聞くと「グラフィカルなアート」を連想してしまうのですが、UIデザインはそういったものでないということですね。
UIデザインはデバイスなどの環境や人間の認知特性を考慮する必要がある
第2章・3章では、環境や人間の認知特性が「わかりやすさ、使いやすさ」にどう影響するかを実例とともに解説しています。
ここで説明されていることは、ウェブサイトやアプリを日常的に使用しているユーザーならなんとなく理解できている類のものだと思います。それは普段利用しているウェブサイトやアプリが、ここで紹介されているルールや原則に従った優れたUIデザインを実現しているからでしょう。
新しい発見や視点は得られませんが、経験知を言語化してくれるという意味で有益なセクションです。
使いやすさの原則:「一貫性」「シンプルさ」「共通概念」
著者は、認知負荷と身体的負荷の軽減がインターフェースをよりよいものにする、と述べています。
また、負荷を軽減するための共通解として、一貫性を保つこと、シンプルにすること、一般的な共通概念に従うことを挙げています。
奇抜でないシンプルなデザインが最も使いやすい、ということでしょう。この点からもUIデザインとアートにおけるデザインの違いがわかりますね。
アクセシビリティについて触れてほしかった
全体的に満足な本でしたが、アクセシビリティについて全く触れていなかった点が気になりました。
アクセシビリティがテーマの本ではないので触れられていないのもわかります。ただ、色や身体的負荷など、アクセシビリティを考える上でのキーワードや概念が登場していることを考えると、多少は取り上げてもよかったのではと思いました。
デザイナーやデザインに興味のあるエンジニアが手に取りそうな本ですし、ついでにアクセシビリティについても啓蒙してもらえればなと思います。
感想
自分はデザイン全然わからないエンジニアなのですが、本書を読んで「使いやすいデザイン」の輪郭が見えてきたような気がしています。
デザインとアートを混同してしまうのはデザインわからない人にありがちなことだと思いますが、この本は「そうではないよ」と優しく説いてくれています。
自分のようなUIデザイン入門者や、グラフィック出身でWebやUIのデザインをはじめたいデザイナーさんにおすすめです。