『フロントエンドの知識地図—— 一冊でHTML/CSS/JavaScriptの開発技術が学べる本』の感想

公開

タグ:

フロントエンドの知識地図—— 一冊でHTML/CSS/JavaScriptの開発技術が学べる本

フロントエンド関連の技術や概念をざっと紹介するといった感じの本です。

フロントエンドエンジニアが知っておくべき技術を網羅してわかりやすく紹介しているのがグッドです。ある程度HTML、CSS、JavaScriptに慣れているWeb制作者やジュニアレベルのフロントエンドエンジニアが読むと得られるものが多いでしょう。逆にそれなりに経験のあるエンジニアなら知っていることばかりなので、得られるものは少なそうです。幅広く色々な技術が取り上げられている一方で個々の技術の解説は少ないので、この本を起点に知りたいものを各自で掘り下げていく、といった読み方がよいと思います。

各技術を紹介する目線がフラットなのもよかったです。この手の話題はたいてい主観混じりで何が何より優れている、みたいな論調になりがちですが、この本ではなるべく主観を排して平等に技術を評価していて好印象でした。

この本の初版は2023年11月でたいていの内容は現在でも通用する鮮度ですが、一部古くなっているものもあるので注意が必要です。たとえば、CSS関連で紹介されていたstyled-componentsは2025年にメンテナンスモードへ移行しています。また、私の主観ですがCSS-in-JSという思想への注目自体も以前と比べて下火になっているように感じます。他にも状態管理ライブラリのRecoilがGitHub上でアーカイブになっていたり、PaaSとして本書では言及のなかったCloudflareが存在感を増してきたりしています。本書の有用性は刊行から2年経っても健在ではありますが、最新の動向は各自で改めて追っていく必要があります。

総合的に見て、本書はフロントエンドに関心のあるエンジニアにおすすめの本です。特にフロントエンドエンジニアにステップアップしていきたいWeb制作エンジニアは読むと学びが多いと思います。